アニメが100倍楽しくなるブログ!

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新作アニメを中心に紹介するブログです。本格的に書いているので長文注意。HOMEからアクセスすると最新記事が表示されます。

『桜Trick』上映会「オールナイト一挙上映2 ~夜通しKiss(and)Love~」

f:id:Brian_T_Spencer:20161124174950j:plainあの『桜Trick』が映画館のスクリーンで上映される・・・。『桜Trick』の全話オールナイト上映会が今年も11月22日(「いいちゅっちゅの日」)に開催されると聞き、迷わず応募しました。 桜Trickについて簡単に紹介すると、まんがタイムきららミラク掲載の同名の漫画が原作のアニメで、女の子同士のキスシーンが「毎回」出てくるアニメとして有名です。詳細については桜Trickのレビュー(作成中)も参照してください。10月からdアニメストアでも配信が開始されたそうなので、まだ観ていない方はどうぞ。

さて、イベントは新宿バルトのスクリーン6(収容人数:405席)で22時30分から行われました。来場者特典としてハリーちゃん缶バッジがプレゼントされました。

ただのオールナイト上映会ではなく、冒頭に声優さんのトークショーがあり、相坂優歌さん(野田コトネ役)、五十嵐裕美さん(南しずく役)、戸田めぐみさん(飯塚ゆず役)の3名が出演されました。個人的には、五十嵐さんがしずくちゃんを演じていたことに驚いてしまいました。五十嵐さんといえば、ここ直近のアニメでは、『ハイスクール・フリート』のヴィルヘルミーナや、『ろんぐらいだぁす!』の新垣葵など、低めの声の役のイメージだったからです。本人もトークショーの中で、しずくちゃんみたいな役は最近演じていないからまた演じてみたいと愚痴をこぼしていました(笑)。

さて、トークショーの内容は、西暦と日付から過去の桜Trick関連のイベントを当てるクイズでした。私は桜Trickのイベントに全然言っていなかったのですが、今回のイベントも含めてこれまでに何らかのイベントが放送が終了してからも頻繁に行われてきたみたいです。よくよく考えてみると、桜Trickが放送されたのは2014年の冬クールだったので、かれこれ3年近く経ったことになるんですがね・・・。トークを聞いていると、今回の上映会もチケットが販売されてからたった5分で250席が埋まり、結局チケットも完売したのだとか。2期の情報など特に新発表もないまま、オールナイト上映会を開催してこれだけファンが集まるのは、桜Trick恐るべし、といった感じでした。

桜Trickの2期があるなら、ぜひ見てみたいですよね・・・。もちろん芳文社としては新作をアニメ化したいでしょうけど。でも、もうすぐ百合系アニメが流行りだすんじゃないかと私は踏んでいます(コミック百合姫が月刊化したり、Citrusがアニメ化されたりしているのはきっとその表れ)。だからその流れで2期は来るはず。

ごめんなさい、話をイベントに戻します。 さて、トークショーが終わり、いよいよ上映会が始まりました。第1話での春香と優の初めてのキスシーンを、映画館の大きなスクリーンで見るのは予想通り大迫力で、見ているこちらも胸がドキドキしてしまいました。まさに「くちづけにくぎづけ」状態でした。その後、ストーリーはコメディータッチな日常とキスシーンを毎回挟みながら進んでいきました。日常系アニメだけど、他の日常系とは違い、最後にはおわりが来てしまうことが常に意識されていて、でもだからこそ今を目一杯楽しもうとする登場人物たちの送る、たった3年間の短い高校生活。それはどこか夢のようにはかないものなのかもしれません。 最初はどこかチープな音響に聞こえていたOPの電子音も、深夜テンションがひどくなりカフェインでハイになった脳内に、話数を重ねるごとに心地よくガンガン響いていきます。春香たちの素敵な思い出であふれる日常を観ていると、観ている側の私もはかなくて短い夢を見せられているような感覚に陥りました。・・・

最終話が終わったとき、夢から覚めた私は喪失感に押しつぶされそうになりながらも、それに抗うように心の中でつぶやきました。

桜Trickは永遠」

 

 

とまあ、こんな感じで、カフェインの入った濃いコーヒーを流し込みながら、オールナイトで観ないと経験できないような感覚が味わえたのはよかったです。別に酒を飲んで酔っていたわけでもないですし、寝ていたわけでもないです。とにかく、こういう深夜の上映会は体力的にきついという理由で敬遠する人もいるとは思いますが、一度参加してみると、また違った鑑賞(と感傷)ができるから参加してみてね、ということです。私の場合は、「桜Trickは永遠」という名言の意味を噛みしめていました。やはり百合は尊い。

VR技術で映画は作れるのか?

f:id:Brian_T_Spencer:20161024103208j:plain『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ –アルスノヴァ-』がイオンシネマのULTIRAスクリーンで再上映されると聞いて迷わず観に行きました。1年前にも劇場で見たのですが、やっぱりアルペジオはすごい!なんというか、全編が3DCG制作で、今まで他のアニメでは表現しきれなかった、大迫力の艦隊同士の戦闘シーンを描いている、という感じです。

アルペジオのすごさを噛みしめながらの帰り道、僕は3DCGによってアニメの表現の幅も広がったんだなと実感していました。アルペジオほど、3DCGを用いるべきコンテンツに用いて、その技術性能を十二分に生かしたなというアニメはないでしょう。まさに、アルペジオというアニメは3DCGだからこそ可能になったコンテンツだといえます。

3DCGに限らず、新しい技術が開発されるたびに、新しい表現技法やそれに適したコンテンツがこれまでに開発されてきました。次は何が来るのでしょうか・・・?VR技術とか出てこないですかね?もちろん時期尚早ですけど、何十年か後には可能になっている・・・かもしれません。

先日の東京ゲームショウでもVR技術が注目を浴びていましたが、ゲーム業界だけではなく、一般的にも今年1年間で認知度は高まったと思います。そこで、「VR技術を用いたアニメ映画は製作できるのか?」という疑問がわいてきたのです。

ここで、アニメだけではなく実写も含めた、これまでの映像技術の発展を思い返します。

そもそも、カメラが撮影する二次元の映像は、人間の目がものを見る光景とは全く異なります。通常、人間のものの見方では視野の中の注目した一部分のみを切り取る一方で、映画では画面に入っている範囲すべてにフォーカスしています。さらに、映画では映像が一瞬で切り替わりますが、人間の目が見る光景は常に連続的です。そして決定的に違うのが、映像の向こう側と観客のいるこちら側が空間的に完全に分断されていることです。映画の草創期の逸話で、蒸気機関車が向かってくる映像を観客に見せたところ、観客は映像の中の蒸気機関車が自分たちの方に本当に走ってくると勘違いして劇場から逃げ出そうとしてしまった、というのは有名な話です。

カメラの写す映像と人間のものの見方の差が違うから、その差をうまく埋めるために、ハリウッドなどで映像の演出の技術が生み出され、その結果、我々はストレスを感じずに映画を楽しめるようになったわけです。逆に、それが上手く行かないと、観客は不自然さを覚え、映像がしっくりと頭に入ってきません。(素人が映像作品を作った時の不自然さを思い出してください。)今日の私たちが、すんなりと映画だとかドラマだとかを楽しめるのは、昔から培われてきた演出技術や色んな創意工夫のおかげなんだと思います。

さて、これまでの映像技術は、観客が映像世界と切り離されていることを前提としています。今日僕が見に行ったULTIRAでさえ、コンセプトには「映像の中にいるような感覚」と銘打っているものの、作品世界にいるような臨場感を味わうことが目的であり、空間的に観客と登場人物が同じ場所にいるわけではありません。

その点で、VR技術による映画は従来の映画とは決定的に異なります。既存の映画では、観客が物語の展開される世界の外にいる一方で、VR技術では観客が物語の世界の中に存在するという違いがあるからです。従って、VRを使った映画で何か物語を描こうとすると無理があります。遠くから登場人物たちを見ているならまだしも、近くに寄った時、どうして登場人物たちは、観客に気づかないのか。また、銃弾が飛び交う激しい戦闘シーンの中、観客はなぜ無事でいられるのか。明らかに不自然です。

それでもなお、映画でVR技術をどう活用するかを考えましたが、正直何も思いつきませんでした。例えば雄大な自然の風景をドローンで360度撮影をしたものをVRで移して、観客に空を飛んでいるように感じさせる映像などは作れそうですが、それくらいですかね・・・。

ただ、映画ではなくて、芝居ならVR技術で代替可能だと思います。芝居では、空間的に物語世界と観客がつながっており、観客が観ているという前提で役者は動いているからです。従来の二次元の映像で芝居を映しても物足りませんが、それをVRで再現すれば、芝居の再現度は上がるかもしれません。(果たして、目の前で生身の役者が演じていない芝居を見ることにどれだけの価値があるかは疑問ですが)。

しかし、映像技術の発達により、映画という表現技法やそれに適したコンテンツが生み出されたように、そして、3DCGの技術により、アルペジオのような3DCGが生かされるコンテンツや表現技法が生まれたように、VR技術が発達することで、今まで誰も予想していなかったような新しい表現技法やVRならではのコンテンツが出てくるかもしれません。上に挙げたVRによる映像の不自然さを克服するような創意工夫やVRだからこそ描けるコンテンツがきっと生まれてくるでしょう。それが具体的に何なのかは僕には予想できませんが・・・。

斉木楠雄のΨ難

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【概要】

時期:2016年夏アニメ(2016年7月~9月)

原作:週刊少年ジャンプ斉木楠雄のΨ難

作者:麻生周一

制作:EGG FIRM×J.C.STAFF

 

【あらすじ】
髪はショッキングピンク、頭部には角のような不思議な装置をつけ、緑色のレンズのメガネをかけているこの少年こそ、この作品の主人公である斉木楠雄である。

男子高校生である斉木楠雄は、超能力者だった。それもただの超能力者ではなく、念力、千里眼、透視、マインドコントロール、テレパシー、予知、瞬間移動、超人的な身体能力など、生まれつき数多くの超能力を使うことが出来る。彼自身は周りから目立つのを嫌がっており、超能力者であることも知られないようにしている。しかし、彼の周りには個性的なクラスメイトたちが集まってきて、さまざまなトラブルが起こる。

 

【おすすめポイント】

超能力者である斉木楠雄の周りで起こる様々なトラブルがコメディーとして描かれています。ナンセンスな内容が中心で、気軽に楽しむことができます。

主人公の斉木楠雄を演じるのは、物語シリーズ阿良々木暦でおなじみの神谷浩史さんです。

放送はテレビ東京系列ですが、おはスタという朝の番組で、平日に1話約5分を毎日放送して、週末の深夜の放送でまとめて5話を放送するという、ユニークな放送形態をとっていました。そのためか、朝の短い時間でも通用する非常にテンポの速いストーリー展開になっており、気軽に楽しめる内容になっています。

深夜放送では、『リゼロ』(2クール目)の直後の枠に入っていました。そのため、2クール目以降、鬱展開に入ってしまったリゼロを観てメンタルに大きなダメージを受けてしまった多くの視聴者は、斉木楠雄を見ることでなんとか回復することができました。私もこのアニメで救われた一人です。

 

【感想】

初めて観たときは、化物語っぽい感じをすごく感じました。主人公を演じる神谷さんの狂言回しに沿ってストーリーが進行するからです。しかし、物語シリーズのように可愛いヒロインが出てくる気配はいっこうになく、出てくるのは風変わりな両親や変なクラスメートばかりで、怪異の代わりには止まることのないギャグの嵐が続きました。このギャップが面白かったです。恐らく神谷さんをキャスティングしている時点で製作陣は狙っているんでしょうか。

制作を見てみると、EGG FIRM×J.C.STAFFとなっています。EGG FIRMは2015年に設立されたアニメプロデュース会社で、これまでにも『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』や『GATE -自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり-』などのプロデュース協力をしてきましたが、本格的にアニメーション制作に乗り出すのはこの作品が初めてのようです。これからの動向が期待できそうです。

ところで、今期は超能力ものとしてもう一つ『モブサイコ』がありますが、『モブサイコ』の主人公のモブは性格や生き方が不器用な一方、斉木楠雄は賢く生きているので、同じ超能力者でも人それぞれの人生を送るんだなと勉強になりました(?)。

ギャグアニメとしては申し分のない作りだと思います。作画の雰囲気も良い意味でギャグアニメらしい適当さがあふれていますし、オチもうまく作られています。アニメファンだけではなく、様々な層にも受けるように、なおかつ、短い時間の中でもストーリーを完結させており、完成度の高い作品だと思います。

正直、こうして真面目にこの作品のレビュー記事を書いているのがバカみたいに感じるほど、この作品はナンセンスを気軽に楽しむための作品です。逆に、ナンセンスを気軽に楽しめない人にはおすすめできません。

NEW GAME!

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【概要】

時期:2016年夏アニメ(2016年7月~9月)

原作:まんがタイムきららキャラットNEW GAME!

作者:得能正太郎

制作:動画工房

 

【あらすじ】

主人公の涼風青葉は、高校を卒業後、ゲーム制作会社「イーグルジャンプ」に、キャラクターデザイナーとして就職した。そこで青葉の直属の上司になったのは、青葉が小学生時代に夢中になったゲームである『フェアリーズストーリー』でキャラクターデザイナーを務めていた八神コウだった。憧れだったキャラクターデザイナーのもと、青葉は新入社員として慣れないながらも、周りの先輩社員のサポートのもと、仕事をこなせるようになる。

 

【おすすめポイント】

「今日も一日がんばるぞい!」のセリフで有名な作品ですが、実はこのセリフは原作の漫画でも1回しか登場していません。アニメでも登場するのは一度きりだそうです。公式Twitterなどの宣伝ではよく使われているんですけどね。

多くの日常系アニメでは登場人物たちが高校生や中学生という設定なのに対し、この作品では、職場を舞台として、お仕事要素を盛り込んでいるのが大きな特徴です。

当初は、「ほのぼの社畜漫画」というコンセプトが予定されていたようですが、可愛いキャラたちの楽しい掛け合いが続くコメディー作品に仕上がっています(とはいえ、作中ではさらっと流されていますが、残業や会社での寝泊まりが多い人もいるみたいです)。

 

【感想】

3か月くらい前に、普段日常系アニメをあまり見ないある友人に、「可愛い女の子がたくさん出てくる日常系*1アニメでオススメってある?」と聞かれてしまい、答えに窮したことがありました。

例えば、代表的な日常系アニメとして、最近よく引き合いに出されるのは、『ご注文はうさぎですか?』、『きんいろモザイク』、『ゆるゆり』などがありますが、萌えに媚びていると受け止められてしまうシーンが多いと感じる人も少なくないはずです。かといって、『ゆゆ式』や『キルミーベイベー』などはギャグの方向性が独特なので万人向けではないと思います。『ARIA』や『のんのんびより』などの作品はストーリーのテンポがゆっくりすぎて、つまらないとか眠たいとか言われるかもしれません。もちろん、『桜Trick』なども百合要素が強いので初心者には向きません。

しかし、『NEW GAME!』は、萌え系やCGDCTのジャンルの日常系アニメを見たことがないけど、どんなものか1回観てみたい、という人にまさにお勧めのアニメだと思います。というのも、可愛いキャラたちの日常を描いているコメディなのですが、萌え要素に媚びているわけでもなく、ストーリーにも起伏があり、百合要素もあるかもしれないけどそんなにないし、何より内容がしっかりあります。まさに、このジャンルでトップを走り続けているきらら系アニメの一つの完成形ともいえます。

ストーリーに関しては、実際に会社に入った新入社員が出くわしそうな話ばかりで、共感しやすいと思います。毎回の話にそれぞれテーマが設定されており、話もテンポよく進みます。それでいて、一つ一つのキャラの仕草も可愛く描写されており、CGDCTとしても充分に楽しめると思います。主人公の周りの個性豊かな登場人物たちとの面白い掛け合いも楽しめます。制作会社を見てみると、最近では、『ゆるゆり』や『干物妹!うまるちゃん』、『三者三葉』などを手掛けた動画工房とあり、さすが動画工房だなと感じました。

ゲームのキャラ作りの仕事に奮闘する青葉を応援するとともに、自分自身も、明日も頑張るぞい、と元気になれる、いい作品だと思います。

*1:ここでいう「日常系」とは、まんがタイムきらら系列の日常系のアニメだと思ってください。「日常系アニメ」と一口に言っても、いったいどこまでが日常系アニメなのかについては、自分の中でもまだ答えが出ていない状態です。

『バディ・コンプレックス』上映会(「サンライズフェスティバル2016 満天」にて)

サンライズフェスティバル2016 満天」で『バディ・コンプレックス』が、8月9日に新宿ピカデリーにて上映されると聞いて観に行きました。『バディ・コンプレックス』は2014年冬に放送されたアニメですが、過去にこのブログでも取り上げているので、よかったら参考にしてください。

anihyaku.hatenablog.jp

さて、サンライズフェスティバル(サンフェス)とは、だいたい8月から9月にまたがった期間中、毎日異なった過去のサンライズ作品が劇場で上映される企画のことです。今年は、新宿ピカデリー、テアトル新宿、TOHOシネマズ新宿の3つの劇場にまたがって開催されました。他の作品の多くは、たくさんある話数のうちから抜粋して数話を上映するという形をとっていましたが、この作品は、最初に放送された全13話をまとめた特別編集版(約90分)と、最後の完結編2話(約50分)が上映されました。

やはり劇場で見ると、臨場感が違いますね・・・。もともと戦闘シーンのBGMや効果音が秀逸だっただけに、劇場で観るとすごさが倍増します。劇場用ではなくテレビ放送用のアニメを劇場のスクリーンで観ると見劣りしてしまうこともあるのですが、この作品には当てはまらなかったみたいです。

他に気付いた点としては、主題歌の挿入のタイミングが理想的でした。特別編集編ではまゆかさんの語りから物語が始まり、第13話の最後で青葉が雛を無限ループから助け出したところでEDが流れます。そこで一区切りついたら、躍動感あふれるOPが流れラストスパートの完結編へとつながっていました。ちなみに、自分はEDが流れた途端、条件反射のようになぜか涙が出てしまいした。

ちなみに、来場者には色紙が配られました。

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さて、最後に大学生になった青葉と雛が出会うシーンで上映が終わり、帰る支度を始めたとき、スタッフらしき男の人と、なんと、田辺泰弘監督その人が舞台の上に立ち、突然トークショーが始まりました。どうやら、観客数の多さに押されて監督が来られることが決定したのは直前だったらしく、Twitterで告知はされていたものの、自分も含めそのことを知らなかった多くの観客たちは驚いていました。

さて、トークショーの内容なのですが、なかなか刺激的な内容でした。(^-^;

「カップリングシステム」というネーミングを他のスタッフや声優が恥ずかしがっていたため、スタッフからは「これって仮の名前ですよね・・・?」と言われたり、初アフレコで笑いが起こったりしたそうです。

2クールものだったら何をやりたかったか、という話題に対しては、そもそも初監督なのにカット数が1話あたり400枚を超えてしまい上層部から怒られた(カット数が400枚を超えるのは「機動戦士ガンダム SEED」以来だそう)という事情があったそうですが、もし2クールものだとすれば、

・キャラの掘り下げ、特にディオと青葉の関係を深めたかった。

なるほど、確かに2人の友情物語をもっと見たかったです。が、やりたかったことはそれだけではないみたいで、

・フロムは裏切っていた。

これを聞いた観客たちはかなり驚いてしまいました。田辺監督はフロムが裏切るようなフラグがあったと思うけど・・・、と怪訝な顔をされていましたが。あと、もしも2クールだったら、

・リーさんは死んでいた。

2クールものじゃなくてよかったね、リーさん!エルヴィラさん!他にも、田辺監督が前半の話のアフレコで、あなたのキャラは死ぬかもしれないよ宣言をそのキャラを担当する声優に行い、担当声優がショックを受けてしまい怒られたという話(声優さんの仕事を簡単に奪っちゃだめ!)など、驚きの裏話が明かされ、観客たちは驚いていました。

最後に、話し相手のスタッフの方が、最後のシーンで青葉は記憶を持っていたかという質問をしました。この質問には答えるのを渋るんじゃないのかなと予想していたところ、監督は「持っていませんよ」とあっさり回答。やはり会場が大きくどよめきました。

田辺監督「はぐらかしておいた方がよかったですかね・・・。」

どうやら、雛に対して見せた意味深な笑顔は、初対面の人でも親しく付き合える青葉だからこその笑顔だったそうです。とまあ、予想以上に"刺激的な"内容のトークショーでした。

トークショーも終わり会場を出ようと周りを見たところ、予想以上に女性の比率が高かったです。というか、男性よりも女性の方が多かったです。それも、友達と来ている人たちが多かったようです。他にアニメ映画だと、男性が多かったり1人で来ている人が多いので、(自分も含めて)観客の様子を見ても正直パッとしないことが多いのですが、バディコンの観客層はちゃんとおしゃれしてきているなという印象を受けました。

女性が多い理由としては、放送当初は腐向けの作品だと思わせていたのが理由だと思うのですが、実際のところはそこまで腐向けではありませんでした。にも拘わらず、ここまで女性ファンが多いのは、正直驚きました。単体としての商業戦略としては失敗したかもしれませんが、長期的に見れば、女性のアニメファンにサンライズのロボットアニメに新たなイメージを持ってもらうことにつながったという点で、決して悪いことばかりではなかったようです。

バディ・コンプレックス

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【概要】

時期:2014年冬アニメ(2016年1月~3月)*1

原作:オリジナル作品

制作:サンライズ

 

【あらすじ】

高校生の渡瀬青葉は、正体不明の巨大ロボットから突然の襲撃を受ける。ひたすら逃げる青葉の前に現れたのは、同じクラスの弓原雛という少女だった。雛はとある倉庫に隠していた巨大ロボットを起動させ、2人はコックピットに乗り込む。雛は敵ロボットを倒そうとするが、敵パイロットは機体を自爆させようとした。その最中、謎の光が現れ、自分たちが未来に飛ばされることをなぜか理解した雛は、青葉に「ディオが待ってる」と告げるが、青葉は何が起こっているのかも分からないまま気を失ってしまう。

気が付くと、そこは74年後の日本だった。だが、そこには彼の親しんでいた平和な日常風景はなく、戦禍の真っさなかだった。そして、彼自身も「ヴァリアンサー」とよばれるロボット兵器のパイロットとして戦争に身を投じていくことになる。

 

【おすすめポイント】

サンライズ×ロボットということで、面白くないわけがないですね。ロボットの戦闘シーンはロボットの動きが素晴らしく、爽快感あふれるものになっています。主人公がまっすぐな好青年であるだけではなく、ストーリーや雰囲気などもサンライズらしい正統派のロボットアニメといえます。

世界観としては、ネクトオリビウムという新エネルギーの発見によって国力を増強させ周辺国を飲み込もうとする「大ゾギリア共和国」(通称:ゾギリア)と、それに対抗する国家が連合した「自由条約連合」(通称:連合)が、世界中で軍事衝突しているという状態で、主人公の青葉がディオという少年と協力しながら戦っていく話になります。

ゾギリアに対して劣勢を強いられている連合が開発した、「カップリングシステム」と呼ばれる、2人のヴァリアンサーのパイロットの思考や感覚をリンクさせ、戦闘能力を向上させるシステムがストーリーの中で重要な役割を果たします。青葉はカップリングシステムの適合者として、ディオという少年と共に戦っていくのですが、2人の友情が深まる様子も必見です。また、躍動感あふれるOP、どこかほっとするようなED、そして作中でのBGMなど、音楽面にも注目です。

 

【感想】

この作品を観て、多くの視聴者の頭を悩ませたのは、タイムリ―プの問題だと思います。完結編の最後で、大学生になった雛が青葉と出会うシーンがありますが、果たして青葉はこれまでの記憶を持っているのでしょうか、また、本当に雛はタイムリ―プの無限ループから抜け出せたのでしょうか。正直、これらの問題について自分自身もはっきりとした答えをだせていませんし、青葉、雛、ビゾンたちがどのようにタイムリ―プをたどってきたのかについても完全には理解できていないです。それでも、この作品をただの説明不足の駄作とは感じずに、考察しがいがある作品だと感じるのは、定めに縛られながらもそれをも変えようとする主人公たちのドラマに共感を覚えてしまったからだと思います。

このブログではタイムリ―プの問題について考察はしないのですが、もし興味がある方はネットで検索してみると、いろんな人が考察を出しているので参考になるかもしれません。たまにはこういう考察しがいのある作品もいいですね。

とはいえ、タイムリ―プについて理解ができなくても、十分に楽しめる作品になっています。ロボットなどのメカニックのビジュアルや動きは、CGの不自然さを全く感じない仕上がりになっていて、非常に爽快感あふれるものになっています。

記憶のないヒナをずっと信じ続けた青葉、当初は青葉に不信感を抱きながらも青葉を助けようとした雛、そして過去から来たという到底信じられない話をしたり軍人として行動できない青葉を信頼したディオなど、登場人物たちの関係性もよく描かれていると思います。

個人的には、本格的にアニメを観るようになる前に観ていた数少ないアニメです。2014年7月からTOKYO MXで再放送されていたときに観ましたが、最近のアニメはこんなにも絵が綺麗でアクションもすごいのかと感激したことを覚えています。

さて、この作品は全13話と、その6か月後に放送された完結編の前編・後編の2話の、合計15話から成り立っています。もし、円盤の売り上げが上々であれば、2クール目もありえたのかもしれませんが、残念ながら売上自体は芳しくなかったためか、結果的には完結編の2話を追加で製作するにとどまりました。それでも、ストーリー自体はきれいに終わっており、良作だと思います。もう少し評価されるべき作品だと思うのですが・・・。

ボーイミーツガールという側面と、男同士の友情物語という側面が、どちらも楽しめる作品なので、男性だけではなく女性のファンが多いのも特徴です。ただ、男性と女性の両方にフォーカスすることで、男性にも女性にもフォーカスしきれていない中途半端な作風になってしまったことは否めません。恐らく、円盤の売り上げが芳しくなかったのはその辺が影響していると思います。コアなアニメファン向け*2というよりも夕方や週末の朝に放送されるべき正統派のロボットアニメで、アニメ好きではない人にもおすすめなのですが、商業的には厳しい結果となりました*3

もし、時間がないのであれば、最初の13話をまとめた、特別編集版(約90分)があるので、特別編集版と完結編だけでも見てみて下さい。戦闘シーン、ストーリー、音楽、・・・きっとそのすべてに魅力を感じるでしょう。

*1:完結編2話は9月・10月に放送

*2:要は萌え豚と腐女子のことです。

*3:個人的には、一般向けでも通用する深夜アニメの円盤の売り上げが一般的に低いことに懸念を覚えます。狭い範囲のファンにフォーカスを当てた作品が売れやすいのは仕方のないことなのですが、それは一方で制作されるアニメの属性を狭めることになり、将来的にアニメを好きになる人たちの範囲を狭める結果になりかねないからです。

ふらいんぐうぃっち

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【概要】

時期:2016年春アニメ(2016年4月~6月)

原作:別冊少年マガジンふらいんぐうぃっち

作者:石塚千尋

制作:J.C.STAFF

 

【あらすじ】

魔女の木幡真琴は、15歳になったら家を出るという「魔女のしきたり」に従い、横浜から遠く離れた弘前にある又従兄弟の倉本圭・千夏兄妹のいる一家で居候を始めることになる。使い魔の猫であるチト、倉本兄妹、同級生の石渡那央、そして幽霊や精霊といった不思議な存在たちとの日常が、美しい田園風景とともに描かれる。

 

【おすすめポイント】

日常系の中でも、何気ない日常を起伏なく淡々と描いている作品なので、『ARIA』や『あまんちゅ!』や『のんのんびより』と同系統だと思います。弘前の美しい自然とそれに寄り添う田舎暮らしの中、魔女である真琴と周りの人々と不思議な存在たちとの交流を描いており、日常の細かい描写も丁寧に描かれています。

放送開始当時はネット上ではほとんど話題にされておらず、放送時間も夜遅かった(しかも変則的な番組編成の影響で夜が明けたころに放送されたことも)にも関わらず、ほのぼのとした日常に癒された人たちが続出し好評だったため、円盤売上も3000枚という大台に乗り、2016年春アニメの中ではダークホース的な存在だったと言えます。

 

【感想】

とにかく、何気ない日常が丁寧に丁寧に描写されているため、見終わった後はいつも何とも言えない充足感に満たされる、そんな作品でした。そういえば、チトさんと近所を散歩するだけの回もありました。毎話振り返ってみれば、結局今回の話はなんだったんだ?と問いかけたくなるのですが、心は満足していました。ゆっくりとした時間がゆっくりと流れていく様子に心を預ける体験に、ある種の新鮮さまで覚えました。

登場人物の描写についても、いかにも「萌え」を前面にアピールしている作品が多い中、自然なやり取りや仕草の中でキャラの個性や可愛さが表現されており(特に千夏ちゃん)、なかなかの良作だと思います。『ご注文はうさぎですか?』や『きんいろモザイク』などの作品では、デフォルメされたリアクションを通じてキャラの可愛さを表現することも多いのですが、この作品についてはリアクションが非常に自然体でした。

さて、ここまで丁寧な日常描写と自然なキャラ描写について述べてきましたが、最後にもう1点だけ書いておきたいことがあります。それは、「そもそもこの作品は日常系なのか?」という点です。

そもそも、「日常系」と銘打っておきながら、よくよく考えてみると、一般的な日本の田舎の田園風景という日常の極致と、魔女というファンタジーな感じで非日常の代表格をミックスさせているので、本来ならば作品の世界観がちぐはぐになってしまい、日常系どころではなくなるはずなんです。ところが、この作品では不思議なことに、魔女という要素は見事に日常に溶け込んでいます。いえ、魔女だけではなく、精霊や幽霊という存在までも、魔女ではない一般人の倉本一家や同級生の那央が完全に受け入れることで、非日常と日常が違和感なく同居するという、面白い作品が出来上がっています。

もちろん、非日常と言っても例えばカッパやお化け、幽霊などの日本的な非日常的な存在ならば、日本の田園風景に溶け込むのも納得いくのですが、真琴たちが出会う不思議な存在たちは、日本的とも西洋的ともいえない、なんとも不思議な存在なんですよね。不思議な非日常を視聴者も違和感なく日常の中に受け入れさせたという点で、なかなか稀有な作品だと感じました。

とにかく、日々の生活で疲れた大人にはぴったりな作品だと思います。ぜひ、癒されて下さい。