アニメが100倍楽しくなるブログ!

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新作アニメを中心に紹介するブログです。本格的に書いているので長文注意。HOMEからアクセスすると最新記事が表示されます。

2017年冬クール振り返り ~異質な存在との共存~

今回の振り返りでは以下の3作品に注目したいと思う。

亜人ちゃんは語りたい

けものフレンズ

小林さんちのメイドラゴン

これらの作品は、一般的に想定されるヒト的な存在とは違う存在たちが活躍する話である。そして、そういった異種の存在を登場させることで、自分と異なる存在とのコミュニケーションと受容の様相を描いている。詳しく見ていこう。

 

 

f:id:Brian_T_Spencer:20170413155610j:plainまずは『亜人ちゃんは語りたい』。「亜人」というハンディキャップに対して、「デミ」という肯定的な意味を付与している。そして、亜人的な先天性の特徴を超え、その人をその人らしくするような個性を見出そうとしている。最初は他人をその人が有する様々な属性で判断してしまうかもしれない。でも、その人を仲良くなるには、属性という色眼鏡を外して、その人自信の個性や考え方にしっかり向き合う必要がある。そんなことを教えてくれる作品だったように思う。

 

 

f:id:Brian_T_Spencer:20170413155636j:plainけものフレンズ』には、他者と生きていく上で大事なことがたくさん詰まっているような気がする。最初にサーバルがかばんに出会った時、自分が何の動物かすらも分からないかばんを、拒絶することなく助けてあげる。何の特技も見出せてなかったかばんに対して、「へーきへーき」と励ましてあげる。かばんとサーバルが園内をバスで移動していた時、困っているフレンズがいれば、みんなが笑顔になる方法を頑張って模索しそれを実現してあげる。他のフレンズを受容し共に暮らそうとする姿勢はこの2人だけではなく、パーク内全体でみられる。ジャパリパークでは、一人一人のフレンズが異なるけものだからこそ(たまに一つの動物種に対して2人以上のフレンズがいることもあるようだが)、惹かれあうし尊重しあってる。そして、誰かがピンチのときはみんなで力を合わせてそのフレンズを無償で助けてあげる。

 

 

f:id:Brian_T_Spencer:20170413155737j:plain小林さんちのメイドラゴン』は、本来は相容れるはずのない人間とドラゴンの共存がテーマである。ドラゴンとは、神々にも匹敵する絶大な力と知識をもち、自分たちにしか理解できない感覚や論理をもち、そして神話などで神や人間たちに敵対する存在である。トールのいた世界の事情をよく知らない小林さんも、ドラゴンと人間の間には歴史的な対立や差異がありすぎることはおぼろげながら認識しており、ドラゴンと人間が簡単に分かりあえるという幻想など持ってはいない(小林さん曰く「言葉が通じることと、分かりあうことは違うんだ」)。だが、それでもなお、小林さんはトールと共に暮らしていきたいという強い意志を持っている。トールの方も、劣等種である人間たちの社会に敢えて身を投じ小林さんに尽くすという選択を行った。さらに、(いずれ確実に想定される)小林さんの亡き後は、一緒にいた時間よりも遥かに長い時間の中、小林さんがそばにいない辛さに耐えていく覚悟を決めている。2人の抱えるバックグラウンドは全く異なるが、それでも2人が絆を深め、変わりない日常を送る姿に、感動を覚えた人は少なくないだろう。

 

 

アニメの話を実際の社会情勢に絡めて論じるのは少し大げさかもしれないが、個人的には世界的に以前より「分断」が進んでいる中で、人間という同じ種族同士でさえもコミュニケーションが成り立たないのではないかという懸念すら覚えてしまう。これらの作品の中に何かヒントがあるかもしれない・・・。

 

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2016年秋クール振り返り ~百合に注目すると~

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2016年秋クールに放送された作品を眺めてみると、百合っぽい関係性がテーマの作品が多いことが分かる。実際にあげてみると該当作品が9つも出てくる。

フリップフラッパーズLostorage incited WIXOSS終末のイゼッタViVid Strike!ブレイブウィッチーズ灼熱の卓球娘ろんぐらいだぁす!響け!ユーフォニアム2、魔法少女育成計画

上に挙げた中にはそこまで百合アニメとは呼べないものも混じってはいるが、『フリップフラッパーズ』、『Lostorage incited WIXOSS』、『終末のイゼッタ』、『ViVid Strike!』は確実に女性同士の特別な関係がメインテーマとして扱われているし、『ブレイブウィッチーズ』と『灼熱の卓球娘』でも百合がメインテーマではないが、明確なCPが想定されている。

僕自身正直アニメを見るようになったり百合にはまったのはここ1年のことなので、それ以前の事情はよく分からないものの、どうやら最近百合界隈が活気づいているらしい。

一迅社が出版するコミック百合姫が隔月刊から月刊に移行し、さらに、芳文社まんがタイムきらら系列からも百合要素のある作品が供給されている。KADOKAWAも百合専門誌こそ発刊しないが、コミックキューン、電撃コミックス、コミックアライブから百合っぽい作風の作品を多く出すようになっている。

百合分野に力を入れ始めているのは出版社だけではない。アニメイトも「アニメイト百合部」と称して百合作品を売り出そうとしている。

 他にもアニメイトの傘下であるゲーマーズや書泉なども、百合部を創っていたりしている。

百合作品が盛り上がっていることは百合好きの自分にとって大変嬉しいことだ。しかし、同時にこの状況を当たり前だと捉えてはいけないようだ。

先日東京と大阪で行われたヴィレッジヴァンガード主催の百合展では、様々な出版社を巻き込んで有名な百合漫画の複製原画や写真作品が展示された。そこで脚本家の綾奈ゆにこさんの書かれた序文を読んで色々考えさせられた(全文はhttp://www.yuriten.com/2017/)。一部を引用させていただく。

今、とても百合がアツい。もちろん、百合好きとしては古今東西アツいのですが、ここ最近の界隈の動きは激しいと言えます。

この熱は、どこから来たのでしょうか? 原因の一つに、わたしは百合アンソロジーの相次ぐ休刊を挙げます。2012年『つぼみ』休刊、2014年『ひらり、』休刊、そして2015年『メバエ』実質の休刊。厳しい現実を、まざまざと突き付けられました。いつも当然のようにあったものが、ある日突然失われる――それは百合界隈にもあったのです。絶望で迎えた2016年。まだ冬の明けない2月に、『百合展2016~放課後に、そっと咲いた一輪の花~』が開催されました。

 すべては百合のために――百合好きが、百合のために立ち上がるその動きは、あちこちで起こり、大きくうねり、今もアツく燃えています。百合作家さんを始め、絶望の中で百合を諦めなかったみんなが作った、「今」なのです。

百合に限らずどの分野にも流行りや廃れがある。それでもこれからも百合界隈が長く続いていってほしいし、そのためにコンテンツを享受する一人のユーザーとして、それぞれが自分の好きなものにはしっかりと好きだと意思表明することの重要性を噛みしめることになった。

 

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おすすめ百合アニメ【2017年編】

2017年(冬~春クール)のアニメで、百合アニメや百合が出てくる作品をまとめてみました*1。現段階では冬クール分しかありませんが、春クール以降も順次取り上げて行きます。

2016年に放送されたおすすめの百合アニメについては下記事を参照してください。

anihyaku.hatenablog.jp

2017年おすすめ百合アニメと百合レベル

 ◇冬アニメ

小林さんちのメイドラゴン ☆☆☆☆★
うらら迷路帖 ☆☆☆★★
ガヴリールドロップアウト ☆★★★★
けものフレンズ ☆☆☆★★
スクールガールストライカーズ Animation Channel [not ranked]
クズの本懐 [not ranked]
アイドル事変 [not ranked]
亜人ちゃんは語りたい [not ranked]
BanG Dream!バンドリ! [not ranked]
南鎌倉高校女子自転車部 [not ranked]
リトルウィッチアカデミア [not ranked]

 

百合という関係性や、百合作品の定義は人によって異なることをふまえ、本記事では、各作品の百合のレベルを☆で表しています。ただし☆の数は百合作品としての優劣ではなく、作品テーマの比重として百合がどのくらい重視されていたのか、明確なCPが設定でき本人たちも友達以上の関係を十分に意識しているかどうか、などが基準になっています(従って、☆が低い作品はそもそも百合作品として評価が低いという意味ではありません)。

 

☆★★★★    百合っぽい関係が少し描かれている(ご注文はうさぎですか?など)
☆☆★★★    百合っぽい関係の描写が多い(きんいろモザイクなど)
☆☆☆★★    百合がメインテーマではないが一つまたは複数のCPが存在する。(ストライクウィッチーズなど)
☆☆☆☆★    明確な百合CPが存在し彼女たちを中心にストーリーが展開される(終末のイゼッタなど)
☆☆☆☆☆    百合がメインテーマの作品(桜Trickユリ熊嵐など)

 

 

◇冬クール

小林さんちのメイドラゴン

百合レベル:☆☆☆☆★

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システムエンジニアの小林さんは異世界から来たドラゴンであるトールを酔った勢いで助けた。行くあてのないトールは人間の女の子の姿になり、メイドとして小林さんの家に住み込みで働くことになる。

基本的には、異世界から来たドラゴンたちが巻き起こすドタバタを題材にした日常コメディーだが、ドラゴンと人間という本来なら相容れない異種のモノ同士のコミュニケーションというテーマが根底にあり色々考えさせられる。人間からするとドラゴンは畏怖すべき存在である一方、ドラゴンからすると人間は「下等で愚かな劣等種」に過ぎない。だが、そんな中でも小林さんとトールの関係性が百合としてすごく尊い。人間より寿命がはるかに長いドラゴンのトールにとって小林さんと過ごせる時間は限られているけど、それは「永遠よりも尊い時間」なんだろうなと思う。

 

 

うらら迷路帖

百合レベル:☆☆☆★★

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「うらら」と呼ばれる占い師たちが住む迷路町が舞台。15歳になった千矢はうらら見習いとして、同じうらら見習いの紺、小梅、ノノと楽しい毎日を送りながら、うららを目指す物語。

まんがタイムきらら系列の作品なので女の子の可愛さと日常をコメディータッチに描いたゆるふわな作品になっているが、うららへの道のりは険しく、ときにシリアスな場面もある。

基本的に主人公の千矢、紺、小梅、ノノの4人一緒で行動することが多いため、明確な百合っぷるがいるわけではない。しかし、千矢と紺の2人はは特に仲睦まじい様子を見せるので今後に期待だ。

 

 

ガヴリールドロップアウト

百合レベル:☆★★★★

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天使学校首席の天使ガヴリールは修行のため人間界の高校に通うことになる。だが、ネトゲやマンガなど人間界の娯楽に馴染みすぎたため、学校をサボったり、ネトゲ三昧の自堕落な生活を送るようになる。こうして堕天使ならぬ「駄天使」となったガヴリールに、真面目な悪魔のヴィーネ、大悪魔を目指すサターニャ、ドS天使ラフィエルが加わって、天使と悪魔の織りなす、ドタバタな痛快コメディー。

自堕落で何もしようとしないガヴリールと彼女に世話を焼くヴィーネの2人はもはや夫婦といっても過言ではない。あと、自称大悪魔だがちょっとおバカなサターニャとサターニャをからかうラフィエルの2人もいいコンビになっている。EDの歌詞にも出てくるが、そのままの自分を受け入れてくれる相手がいるって素敵なことなんだなと思ってしまう。

 

 

けものフレンズ

百合レベル:☆☆☆★★

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動物たちがかわいい女の子の姿をした「フレンズ」になっているジャパリパークを舞台に、自分が何の動物か分からない「かばん」が、サーバルキャットのフレンズである「サーバル」といっしょに旅をする話。

かばんとサーバルフェネックとアライさん、プレーリーとビーバー、ライオンとヘラジカ、ギンギツネとキタキツネなど、百合っぷるがたくさん登場する。その関係性を一言でいうとこうなる。

「姿かたちも十人十色だから惹かれあうの」(OP歌詞より)

「この世の奇跡ギュッとつめこんで君と出会えたんだ」(ED歌詞より)

ツイッターでも二次創作のファンアートが流行っているので、ぜひチェックしてほしい(最近だとフェネアラの「やめるのだフェネック」が流行ってる。)

 

 

リトルウィッチアカデミア

百合レベル:☆☆☆★★

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箒にも乗れない魔女のアッコが魔法学校での生活を通じて、周りの友人や大人たちに影響を受けて成長する話。TRIGGERらしい視覚的に見ていて楽しい作画や、ストーリーや展開の鮮やかさなどが特徴だが、百合的な視点でいうと、ダイアナとアッコ、アーシュラ先生とクロワ先生の関係に注目したい。が、アッコと他のメンバーたちとの組み合わせも考えられなくもなかったりして中々面白い(個人的にはダイアコ一筋だが)。

貴族の生まれで超優等生のダイアナと活発だが劣等性で庶民派のアッコが、性格や考え方が正反対で意見を衝突させあったりしながらも、互いが互いに賭けているところを補い合う様子は、王道展開かもしれないが、2人の感情の変化がちゃんと追いかけられていて非常に良い。これからも2人を応援していきたい。

(ここからネタバレあり→最終話でダイアナとアッコがミサイルを止めようと一緒に箒に乗りながら宇宙に飛び出してミサイルと戦う姿が尊すぎて言葉を失った。っていうか、地球大気圏外で魔獣と化したミサイルと戦うのって、完全にストライクウィッチーズ2の8話のエイラーニャ回ですやん。。。宇宙空間に飛び出していく百合は名作

 

 

スクールガールストライカーズ Animation Channel(未視聴)

百合レベル:〔not yet ranked〕

(きっと百合展開あるはず!)

 

 

クズの本懐(未視聴)

百合レベル:〔not yet ranked〕

(レズセックスが地上波で放送されたことで話題になった挑戦的な作品。ただし、百合百合詐欺なのかもしれない。)

 

 

アイドル事変(未視聴)

百合レベル:〔not yet ranked〕

(主題歌で踊っている2人の百合展開がありそう・・・?)

 

 

亜人ちゃんは語りたい(未視聴)

百合レベル:〔not yet ranked〕

(まだ観ていないから何とも言えない)

 

 

BanG Dream!バンドリ!)(未視聴)

百合レベル:〔not yet ranked〕

ツイッターにあがっているファンアートを見ると、見込みありかも)

 

 

南鎌倉高校女子自転車部(未視聴)

百合レベル:〔not yet ranked〕

(まだ何とも言えない)

 

 

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*1:※本記事は百合や百合作品についての他の定義を排斥するものでもありませんし、他のCPの組み方の可能性を否定するものではありません。また推しCPの派閥戦争への参戦の意志はありません。

おすすめ百合アニメ【2016年編】その2

2016年(冬~秋クール)のアニメで、百合アニメや百合が出てくる作品をまとめた記事の続きです。本記事では2016年秋クールの百合作品を取り上げていきます。百合作品や百合レベルの評価基準などについては前記事を参照してください。↓

anihyaku.hatenablog.jp

◇秋クール

フリップフラッパーズ

百合レベル:☆☆☆☆★

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優等生だが将来の進路を決められないでいるココナが、不思議な少女パピカと出会い、「ミミの欠片」を集めるために、この世とは違う「ピュアイリュージョン」という世界を冒険する。ココナとパピカの関係性が尊い。2人でならどこまでも行けるし、どんなことでもできる。また、ココナの幼馴染のヤヤカもいれた3人の百合も素晴らしい。独特な世界観、素晴らしい作画、開放的な雰囲気など、観ている人を魅了する作品に仕上がっているので一度は観てほしい。

 

 

Lostorage incited WIXOSS

百合レベル:☆☆☆☆★

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穂村すず子と幼馴染の森川千夏が、WIXOSSというカードゲームを使った、互いの記憶を賭けたセレクターバトルに巻き込まれ、救いを求めてもがく物語。

カードゲームを題材にした作品のはずだが、途中からすず子と千夏の恋人同士の"痴話喧嘩"に見えてくる。セレクターバトルに巻き込まれたプレーヤーたちの運命の悲惨さや業の深さが主題だと見せかけて、実は本当の主題は2人の関係性の修復にあるため、百合好きなら一度は観てほしい。

これまで隠されてきた、2人が互いに対して抱えていた複雑な想いが、セレクターバトルを通じて、露わになっていく。今年の百合アニメの中でも群を抜いて2人の関係性は「重かった」といえよう。

 

 

終末のイゼッタ

百合レベル:☆☆☆☆★

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第二次世界大戦時の欧州と酷似した世界が舞台。西暦1939年、ゲルマニア帝国は隣国リヴォニアへの侵攻を開始し、翌年帝国の侵攻の矛先はアルプスの小国エイルシュタットに向けられようとしていた。エイルシュタットの公女フィーネが「魔女」であるイゼッタの力を借りて、エイルシュタットを守ろうとする。

戦車や軍艦などの近代兵器が支配する戦場を颯爽と飛行する魔女の姿はかっこいい。作中を通じて緊迫するきな臭い展開が続く中、イゼッタとフィーネの掛け合いにほっとしてしまう。冷めた目で見ると、イゼッタは前線で戦う武器として、また時には戦意発揚の道具として国家に利用される側であり、為政者側であるフィーネと本当の絆など結べないように思える。しかし、そんな立場の違いは2人とも既に織り込み済みであり、それでも国を守るために共に戦うんだという強い意志が、イゼッタの無邪気な言動やフィーネの覚悟の中に垣間見える。最終話の展開には心が揺さぶられてしまった。

 

 

ViVid Strike!

百合レベル:☆☆☆☆★

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孤児院出身でフーカ・レヴェントンは、あるきっかけでナカジマジムに住み込みで働きながら、格闘技の選手を目指すことになる。うわべだけの強さだけを求め、弱者を見下すようになってしまった幼馴染のリンネ・ベルリネッタと格闘技で試合をし、目を覚まさせるためにである。

魔法少女リリカルなのはシリーズ』の第4期にあたる『魔法少女リリカルなのはViVid』の続編だが、以前のシリーズを知らなくても楽しめる。

幼馴染で一番の親友だったが今では袂を分けた2人が、殴り合いの死闘の中で拳で語り合い、最後には和解する様子が丁寧に描かれている。

 

 

ブレイブウィッチーズ

百合レベル:☆☆☆★★

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言わずと知れたストライクウィッチーズの続編。「ストライカーユニット」をはいた「魔女(ウィッチ)」たちが、異形の敵「ネウロイ」と戦う物語。今回は第502統合戦闘航空団「BRAVE WITCHES」が舞台。

酒好き女好きの享楽主義者であるクルピンスキーと数多のエースウィッチを育てたロスマン先生(クルロス)、料理が得意な下原と大食いのジョゼ(モハジョゼ)、「ついてないカタヤイネン」ことニパと高度な戦術家のサーシャ(ニパ―シャ)などのペアがいる。

全体で力を合わせてネウロイに立ち向かうチームワークの中に、個々の特別な関係性が垣間見える。ちなみに、あの2人(エイラーニャ)も登場する。

なお、2017年5月には特別編となる第13話「ペテルブルグ大戦略」が劇場公開がされるのでこちらも必見だ。

 

 

灼熱の卓球娘

百合レベル:☆☆☆★★

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卓球が好きな中学生の旋風こよりが上矢あがりと出会い、ともに切磋琢磨しながら卓球の全国大会を目指す話。あがりはこよりの卓球を見て卓球の楽しさを再認識し、こよりはあがりの決意を聞いて全国大会に行くという目標を見つける。

他にも、天下ハナビと出雲ほくとのペアや、大宗夢音と後手キルカのペアなどがいるが、どのペアも互いが互いの弱点を補い合い、互いの強みを引き出しているようにみえる。かわいいキャラデザに加え、原作を忠実に再現した迫力ある卓球の試合の描写など、おすすめの作品である。

 

 

ろんぐらいだぁす!

百合レベル:☆★★★★

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特に取り柄もない大学1年生の倉田亜美は、街中で見かけた折り畳み自転車に一目ぼれし、幼馴染の新垣葵とサイクリングに出かける。やがて、自転車好きの友人に囲まれるうちに、亜美自身も自転車にはまってしまい、みんなで長距離サイクリングをするようになる。

とにかく優しい世界。サイクリング初心者の亜美を、他のチームメンバーが支えてくれている。長距離サイクリングを通じて仲間の絆が深まっていくので、観ている側も心が温まる。亜美と葵という幼馴染の掛け合いも微笑ましい。

制作はアクタスだったので前クールのレガリアの遅延の影響をもろに受けてしまい、何度も放送を落としてしまった。だが、円盤の売り上げは善戦した模様。

 

 

響け!ユーフォニアム2

百合レベル:☆☆★★★

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主人公の黄前久美子が北宇治高校の吹奏楽部に入部して、部員たちと共に全国大会出場を目指す話。同級生の高坂麗奈との百合描写がところどころに入るが、2人が百合カップルかと言われると正直微妙である。最悪百合詐欺になる可能性も秘めている。とはいえ他にも百合カップルはいるので期待してほしい。

 

 

魔法少女育成計画

百合レベル:☆☆★★★

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愛くるしい魔法動物の「ファヴ」に選ばれた女の子たちが、不思議な魔法の力をもった魔法少女に変身して、困っている人々を助けて、マジカルキャンディーを集める、ゆるふわなお話・・・

と見せかけて、実際は選ばれた魔法少女たちが互いに殺し合う残酷な話になっている。
主人公のスノーホワイトとラピュセル、リップルとトップスピード、シスターナナとヴェス・ウィンタープリズンなど、百合CPは出てくるが、百合っぽい尊い関係さえも、悲劇を盛り立てる贄に過ぎないと認識させられる展開。僕自身はもはや残酷な本編は忘れ、ひたすら優しい世界が描かれる二次創作に浸るようにしている。

 

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『聲の形』-他者との繋がりのあり方に気づかせてくれる名作

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※中の人が『聲の形』にあまりにも感動して、この記事は映画『聲の形』に関する中の人の超個人的な感想文になってしまった(公開するかも迷った)ので、普段のようなレビュー記事は別記事として書く予定です。

 

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「もうこんな時間や」

スタバでツイッターを眺めていた僕は急いで荷物を片付け、新宿の人混みをかき分けながら、ピカデリーへと向かう。今回の上映が関東では最終の上演だ。きっといつもより観客が多いことだろう・・・。

 

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上映は深夜0時過ぎに終わった。劇場を出た後、僕はすぐ山手線内回りのホームに向かった。行先表示がいつもの「池袋・上野方面」ではなく「品川」になっている。終電に間に合うように駆け込んだ電車の中で息を整えながら周りを見渡すと、すでに0時を過ぎたというのに車内は人でごった返していた。東京に住んでから数年経つが、こういう大都会の光景にはいまだに慣れない。まだ涙ぐんでいる目をこすりながら、僕は自分の考えを整理し始めた。

 

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<面白くなければ映画じゃない>

語弊がある言い方だが、この映画は聴覚障害や学校でのいじめ問題を「ネタ」にしている。製作陣は、ストーリーに聴覚障害やいじめを組み込むことで、登場人物たちに彼らの感情を激しく動かさせ、ストーリーを紡がせている。観客に感動してもらうという目的のためにだ。だが、自分はそのことに非難の気持ちや嫌悪感は起きない。僕個人の考えとして、そもそも映画やアニメなどの映像作品は、他人の行動を観客がただ「傍観」し、観客が何らかの楽しみ(映画を見るインセンティブや、映画を見た結果感じたことなど)を得るという、ある種のエンターテインメント性を持っているべきだからだ。

例えば、シリア難民の悲劇を描いたドキュメンタリー映画があるとする。観客が感じるのが、同情なのか、憐みなのか、自分じゃなくて良かったという安心感なのか、紛争に参加している様々な主体への怒りなのか、難民のための何らかの行動を実際に起こす決意なのか、懸命に生きようとする人々への感動なのかは分からないが、いずれにしても、観客が映画を観ることで得られた何らかの心や頭の動きを引き起こさせる装置として、難民たちの姿は利用されている。

別にドキュメンタリー映画に限らず、あらゆる映像作品がそうだ。登場人物たちが怪我をして痛い目にあっても、忘れられない感情でもがき苦しんでも、はたから見ている観客には関係ない。その意味で観客は登場人物に対して残酷である*1。観客たちは映像作品を通して、他人の背負っている性(さが)やハードルや問題を眺めることで、それらを利用して自分の心を動かしたり考えたりする。だから、この映画を観てその構造に気づく人たちの中には、この映画のテーマ設定に対して嫌な気持ちになる人もいるかもしれないけど、自分はそうは思わない。

さらにいうと、テーマの軽重は本質的にどうでもいいと思っている。「自分の心の成長や道徳心の向上のために、聴覚障害やいじめがテーマの映画を見よう」みたいな理由でこの映画を観ようとしたのではなく、純粋にアニメオタクとして可愛い女の子が出てくるアニメがいいなと思ったから観たのだ。ツイッターのTLでオタクたちが感動したとかいっていたから、この映画に出会うことが出来た。そして、観た後でさえ、扱っているテーマが重いこの映画を、正真正銘のエンターテインメント性まるだしの他の萌えアニメと同じ列に置いて評価しようとしている。映画の扱っているテーマの軽重ではなく、観た後に満足したか満足していないかで評価したいからだ。

あらゆる要素は作品テーマの軽重によらず、観客を楽しませるためにあり、評価は作品テーマの軽重ではなく、純粋に観て良かったかどうかに依存するべきである。「面白くなければ映画じゃない」という言葉があるが、この言葉を自分はこのように解釈している。

 

<京アニらしい素晴らしい出来>

この映画で評価したい点はこれだけではない。物語が主に将也の視点で進むため、硝子がどんな気持ちなのか、何を考えているのかを、将也だけではなく観客も思い悩むことができる。またストーリー展開についても、この先の展開に観客が興味を引くような仕掛けを施したストーリーテリング(時系列を入れ替えたり、誰からの視点かを変えたりなど)をする一方で、観客がストーリーをきちんと理解できるように無理のない脚本になっていた。正直、粗を探しても見つからないほど完璧なストーリー展開と脚本だったと僕は思う。演出やBGMも物語世界に観客を引き込むのに十二分に役割を果たしていて、劇場で観て本当に良かったと思える作品である。また、小学校時代から現在に至るまで一貫して、登場人物たちの行動や態度にリアリティを感じることが出来た。作画や細かい演出の素晴らしさに関してはいうまでもない。・・・。

いや。違う。僕が本当に書きたいことはそういうことじゃない。いや、もちろん、上に書いた一連の文章も感想の一部ではある。でもどうして僕は感想記事を書くときに、変にこう大人ぶって分析的に客観的になってしまうのだろう。映画のテーマだとか脚本だとか作画だとか演出だとか音楽の入れ方だとか、そういう外枠を指摘したいんじゃない(勿論、そういう外枠を意識して観察することが楽しいときもあるのだが)。それらは作品が僕に何かを与えるための手段や、伝えたいことを入れる容器に過ぎない。僕が書きたいのは、作品を観ているときに自分が素直に何を考えたのか、どんな感情になったのか、という「生々しい」感想なのに。でも、生の感想の多くはその刹那で忘れてしまうし、今残っている生の感想もうまく文章化できないのがもどかしい。それでも何とか書き留めてみる。

 

<妙にリアルな心情表現>

僕がこの作品を観て受けた最大のショックは、将也から何度も酷いいじめを受けても、彼を責めることさえしない硝子のまぶしい笑顔だった。硝子の姿は、京アニの代名詞ともいえる、かわいい女の子描写を通じて描かれている。公式HPでは彼女の笑顔は「愛想笑い」だと書かかれているが、実際は明らかに愛想笑いの枠を超えている。彼女の笑顔は、他の萌え系のアニメに出てくるような、かわいい女の子が仲のいい友達と心の底から楽しく話すときに見せる可憐な笑顔と限りなく似ていた。だからひどい違和感を感じた。彼女は酷い仕打ちを受けて苦しんでいるはずなのに、将也を憎む様子を全く見せず、天使のように笑みを浮かべるという彼女の行動を、僕は全く理解できなかった。それどころか、観客である自分ですら、行動が全く理解出来ない硝子のことを「拒絶」していたのかもしれない。将也を始めとする、彼女以外のクラスメイトたちのように。

だが、そんな僕の疑問は思わぬ形で解けることになる。将也にいじめられた硝子が、将也に優しく微笑えみ、落書きされた将也の机を拭いてあげたのと同じように、結弦に盗撮写真をネットにアップされた将也が、結弦に怒りを覚えることもなく、雨の降る中で傘に入れてあげたときだ。将也の行動は硝子の行動の焼き写しであり、どうして将也がこんなに優しいのかについて作中では明確に説明されていない。しかし、将也がこういう行動をとった理由がなぜか理解できてしまった。硝子の行動の方は理解できなかったのに。

将也の行動は、「自分に悪意を意図的に向けた人間に対しても優しく接するべきだ」といった高潔な精神に由来するものではない。他人とのコミュニケーションを断っている彼にとって、他人からのコンタクトは嫌がらせだろうがなんだろうが、なぜか嬉しく感じられたと考えるほうがまだ妥当である。あるいは、小学校時代に自分が受けた酷いいじめや、現在の環境でも周りの人間は自分を拒絶しているという常に頭にまとわりついている妄想のせいで、将也の心は疲弊しきっており、何が自分にとって辛いことなのかという正常な判断ができないため、結弦のいたずらは軽微に思えたからかもしれない。そして、硝子の行動もおおよそ同じような理由からかもしれないと思い至った。周囲との意思疎通がうまくいかない彼女にとって、周囲と何らかのコミュニケーションを取ること自体が、ありがたく感じられたのだろう。それが悪意に満ちたものであったとしても。さらに、ストーリーは進むと、当時から自分のせいで周りを不幸にしてしまっており、自分は死んだ方がいいとも考えていたことが分かる。

このように、いじめられる側の人間の心情が生々しく表現されており、彼らたちの心情にショックを受けただけではなく、心情表現が間接的にも関わらずその意図をくみ取ることができたことにもショックを覚えてしまった(自分自身の中にも類似の実体験があるのかもしれないと示唆しているように感じられたからだ)。

ところで、作中では過去の将也の行動や彼に降りかかる出来事が、少し形を変えて再度出てくることが多い。さっき挙げた、いじめてくる将也に微笑みかける硝子と、ネットでなりすましをしてきた結弦に優しい将也という構図もその一つである。また、クラスメイトからいじめられる硝子と、彼女の転校後に仲間から裏切られていじめられる将也(いじめの手段まで同じ)という構図もそうである。硝子をいじめたことで将也がみきから非難されるというくだりは2回も観ることになった。こういった展開は、さっき挙げたように、観客たちに登場人物たちをさらに深く理解させるはたらきをする。こういった手法を意識して観たのは初めてだったので自分には新鮮だった。

 

<どこに感動したんだろう?>

さて、僕はこの映画に大きな感動を覚えた。だが、ここで改めて本作のあらすじを考えてみてほしい。この映画を要約するとこうだ。「聴覚障害をもつ女子をいじめていた男子が、女子の方が優しいのにつけ込んで、都合よく仲良くなる話」。しかし、実際の人間模様はそう簡単に割り切れるものではない。そのことはこの作品を観た全ての人が恐らく共通して感じただろう。ここでは次の2点を指摘したい。

1点目はいじめについてである。本作の大きなテーマとして、いじめとそれによって生じたわだかまりの解消があげられる。普通なら、「いじめた側が過去のいじめを反省し悔いることで、何も悪くは無いいじめられた側が、当時と変わらない優しい心でもって彼らを受け入れて、めでたし」というストーリーになるだろう。だが、変わるべきなのは、いじめる側だけではなく、いじめられる側でもあったと本作では説いている。硝子は摩擦を恐れずにもっと自分の気持ちを人に伝えるべきだし、将也は人の顔をきちんと見るべきだとなっている。そこで障害があることが特別扱いされることはない。さらに、突然現れた西宮の扱いに困っていたという植野の意見や、教師も含めクラス全体で将也1人をいじめの張本人に仕立て上げるという陰湿な体制など、そこには単純な善悪論では片付けられない複雑ないじめの背景が描かれている。別に、いじめはいじめられる側にも問題があるからだとかいう曲がった論理で、いじめはいじめる側ではなくいじめられる側が悪い、という結論が言いたいのではない。だが、いじめを含め様々な人間関係の中で、誰が悪いかという議論を超え、各々がどう変わるべきなのかがテーマだと気づいたとき、僕は驚いたとともに、感動を覚えた。

2点目は将也と硝子の関係性についてである。転校した後に初めて二人が出会ったとき、硝子は優しく微笑み、将也にとって都合のいいように話が展開しているように見えたため、観ているだけで居心地が悪く感じられた。しかし、話が進むにつれ、二人の関係性はいじめの加害者・被害者という単純な構図ではないことを知らされた。自分の殻に閉じこもっていた硝子が、将也に生きる理由を与える一方で、硝子をいじめて生きる理由を奪ったともいえる将也が、硝子が生きる支えになる。二人が完全に過去を乗り越えるのはまだ先なのかもしれないが、この先もきっと二人は互いを支えあって生きていくことになるんだろう*2。自分の嫌いな部分も受け入れ、二人が支えあいながら頑張って生きようとする姿に、僕は心を動かされたのだ。今回の一連の出来事で、それぞれの人生がいい方向に向かうことを確信したし、これからの二人の幸せを祈っている。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ここで僕はペンを置いた(って書いたけど、実際はWordで書いているからペンは持っていない)。この駄文を書くのに4時間もかかった。バイトの時給に換算すると、1時間900円だとして、果たしてこの文章に3600円以上の価値があるのかは、かなり疑問ではある(たぶんない)。深夜テンションだと普段よりもさらに酷い文章になるな、と悲しく笑いながら、窓の外を見た。夜明けはすぐのようだ。

・・・と長々と書いてしまいましたが、まとめると、

結論:「植野もかわいいけど、硝子が本当にかわいらしくて素晴らしい映画です。まだの人は絶対に観てください。」

*1:例えば、百合好きなら、同性愛が一般的に受け入れられていないような社会という設定の中で、苦しみながらも愛を貫こうとする2人の百合に感動するだろう。2人が叶わない恋に苦しんでいる様子を見て2人の百合の尊さに感動する。それは残酷な心の働きだと言えないだろうか。

*2:百合だったらここで「二人の関係性はなんて尊いんだろう(歓喜の涙)。早く結婚してほしい。」っていう言葉で締めたんですけど、百合じゃない場合は何て言えばいいんですかね?(笑)(語彙力のない百合厨)

おすすめ百合アニメ【2016年編】その1

2016年(冬~秋クール)のアニメで、百合アニメや百合が出てくる作品をまとめてみました*1。それにしても、2016年秋は百合っぽいアニメが質・量ともに豊作だったため、この記事では冬~夏クールの分を取りあげ、秋クールの分は次の記事で取り上げます。

 

 2016年おすすめ百合アニメと百合レベル

 ◇冬アニメ

紅殻のパンドラ       ☆☆☆★★

 ◇春アニメ

ハイスクール・フリート   ☆☆☆★★
あんハピ ☆☆★★★
田中くんはけだるげ ☆★★★★

 ◇夏アニメ

レガリア
The Three Sacred Stars
not yet ranked〕
あまんちゅ! ☆☆☆☆★
NEWGAME! ☆☆★★★

 ◇秋アニメ

フリップフラッパーズ ☆☆☆☆★
Lostorage incited WIXOSS ☆☆☆☆★
終末のイゼッタ ☆☆☆☆★
ViVid Strike! ☆☆☆☆★
ブレイブウィッチーズ ☆☆☆★★
灼熱の卓球娘 ☆☆☆★★
ろんぐらいだぁず! ☆★★★★
響け!ユーフォニアム2 ☆☆★★★
魔法少女育成計画 ☆☆★★★

 

さて、「百合」という言葉の定義は人によってかなり差があるように思われます。「2人が他の友達よりも特別な親友だと認識している状態は百合である」と捉える人もいれば、「2人が明確に恋人同士だと認識してはじめて百合だと言える」という人もいれば、「女の子同士が仲良くしている時点で百合だ」と主張する人もいます。さらに、セックスを含めるかどうかでも議論が分かれそうです。

さらにややこしいことに、百合という関係性が描かれているといって、直ちにそのアニメ自体が百合アニメになりません。例えば、ごちうさに百合関係が描かれたとしても、ごちうさを百合作品だと言ってしまうのは違うような気がします。

このように、百合という関係性や、百合作品の定義は人によって異なることをふまえ、本記事では、各作品の百合のレベルを☆で表しています。ただし☆の数は百合作品としての優劣ではなく、作品テーマの比重として百合がどのくらい重視されていたのか、明確なCPが設定でき本人たちも友達以上の関係を十分に意識しているかどうか、などが基準になっています(従って、☆が低い作品はそもそも百合作品として評価が低いという意味ではありません)。

 

☆★★★★    百合っぽい関係が少し描かれている(ご注文はうさぎですか?など)
☆☆★★★    百合っぽい関係の描写が多い(きんいろモザイクなど)
☆☆☆★★    百合がメインテーマではないが一つまたは複数のCPが存在する。(ストライクウィッチーズなど)
☆☆☆☆★    明確な百合CPが存在し彼女たちを中心にストーリーが展開される(終末のイゼッタなど)
☆☆☆☆☆    百合がメインテーマの作品(桜Trickユリ熊嵐など)

 

星が2つと3つの作品は、作中ではあまり百合が注目されていなくても、本編と違うところで公式が推していたり、二次創作で百合が描かれることが多いイメージがあります。

逆に星が5つになると、ファンが望む百合的な状況がすでに本編で達成されているので二次創作で新しく描く部分が少ないみたいな感じだと思います。なお、毎クール全ての作品を観ているわけではないので、作品のリストに抜けているものがあるかもしれません。

それではまずは冬~夏クールの作品を紹介していきます。

 

 

◇冬クール

紅殻のパンドラ

百合レベル:☆☆☆★★

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技術の進化によりサイボーグやロボットが一般的になった未来社会のセナンクル島が舞台。世界で初めて脳以外の全身を義体化させた七転福音が、ネコ耳のついた戦闘用アンドロイドのクラリオンと出会い、セナンクル島の秩序と平和を守る話。『攻殻機動隊』と世界観を共有しているにも関わらず、一昔前のアニメを彷彿させるような絵のタッチや、福音の天然キャラ、そして福音とクラリオンのゆるふわな雰囲気は観ているだけで癒されてしまう。アンドロイドとして生きる宿命を背負ったクラリオンと共に生きようとする福音と、降りかかる危険から福音を守りながら福音の夢をかなえようと頑張るクラリオンの姿が印象的な作品。

 

 

◇春クール

ハイスクール・フリート

百合レベル:☆☆☆★★

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人々の大半が海上都市に住むようになった日本で、海上交通の安全を守る「ブルーマーメイド」を目指す女子高校生たちが、航洋艦「晴風」を舞台に、仲間たちと共に様々な困難を乗り越え成長していく物語。30人以上いる晴風の乗員一人一人の様子をしっかりと描くため登場人物が非常に多い。当然、登場人物が30人以上もいれば中には百合カップルも誕生するはずだ(百合脳乙)。有力なCPだけでも、魚雷を撃つのが大好きな水雷長の西崎芽衣と無口な砲術長の立石志摩(メイタマ)、千葉県出身だけど江戸っ子な機関長の柳原麻命と幼馴染みで世話好きな黒木洋美(クロマロ)、ベレー帽を被っていて漫画を描くのが好きな青木百々とツッコミ役で応急長の和住媛萌(ヒメモモ)などたくさんあり、マイナーなCPも挙げるときりがない。

中でも、艦長で主人公の岬明乃と副長の宗谷ましろのカップルは印象的。このアニメは1クールまるまるかかって性格や価値観が真逆な2人が互いを好きになる過程を描くために存在しているといっても過言ではない。(以下ネタバレなので文字反転して読んでください↓

艦長にあるまじき行動を取る明乃をゆっくりとだが理解していくましろと、ましろに助けられながら艦長としての責務を果たそうとする明乃の関係性がいじらしい。第11話で鬱になってしまった明乃に対して、ましろが「あなたのマヨネーズになる!」という名言を投げかけたシーンは感動的だった。控えめに言ってミケシロは最高。

 

 

あんハピ

百合レベル:☆☆★★★

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生まれつき不幸を背負った不憫な女の子たちが、幸せを見つける物語。といっても、コメディータッチで描かれているのでシリアスな話ではない。原作が「まんがタイムきららフォワード」なので、その点は安心してほしい。

きらら系の日常系アニメなので、百合以前に女の子同士のかわいい掛け合いが大きな魅力である。もちろん、明確な百合カップルも存在する。萩生響と江古田蓮のカップルだ(上の写真で背中合わせになっている中で左が響で、右が蓮)。

響はツンデレで負けず嫌いだが重度の方向音痴である。一方、蓮は無意識であらゆる動物のメスを魅了してしまう。2人は幼稚園の頃からの幼馴染であり、方向音痴でいつも道に迷っている響を蓮が連れ戻してあげている。2人は自分たちのことを恋人として認識しないかもしれないけど、デュエットのキャラソンのカバー見たら百合カップルだってすぐ分かる。

 

 

田中くんはけだるげ

百合レベル:☆★★★★

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居眠りばかりしていて、がんばらないで生きようとする田中くんを囲む日常が描かれる。ゆったりとしたゆるふわ学園コメディーであって百合がメインの作品ではないが、サブキャラクターの宮野と越前の2人の百合が尊い(上の写真の1番左上が越前で、その右隣が宮野)。宮野は活発で何事も全力で頑張る小柄な女の子で、越前のことが大好き。越前はヤンキー女子で義理堅い性格だが乙女な一面があり、宮野のことが好き。二人の話がメインの第3話だけでもいいから見てほしい。

 

 

◇夏クール

レガリア

百合レベル:〔not yet ranked〕

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(まだ全話見ていないのでストーリーはよく分からないけど、百合カップルが3組いて、それぞれのペアが一つのロボットに乗って戦うっていう、百合好きが歓喜する嘘みたいな話。ヒロインのユイとレナの姉妹百合が尊い。CGではなく手描きでロボットの戦闘の作画を描こうとしていたり、キャラデザがかわいかったり、作画面では結構すごいっぽい。この点では伊達に放送延期しているわけではないのだ。全話見たら記事を書き直します。)

 

 

あまんちゅ!

百合レベル:☆☆☆☆★

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東京から引っ越して伊豆の高校に入学することになった大木双葉が、スキューバダイビングが趣味で非常にマイペースで不思議な感じ雰囲気をもつ小日向光に出会い、彼女の影響を受けてスキューバダイビングに挑戦する話。

原作の漫画の作者は、『ARIA』の天野こずえさんであり、あまんちゅもARIAに劣らず、時間の経過がゆっくりとして、どこか独特な雰囲気の中で物語が進んでいく。

引っ込み思案な双葉が光と一緒に海に潜ることを目標に頑張る一方で、光は双葉を導いてあげたり助けてあげたりする。キャラデザや演出は癖があるけど慣れてくると面白いので、二人が一緒に海に潜れるようになったかどうか見守ってあげてみて下さい。

 

 

NEW GAME!

百合レベル:☆☆★★★

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2016年のきらら系列のアニメで最もヒットした作品(2期決定おめでとう!)。ゲーム制作会社にキャラクターデザイナーとして新しく就職した涼風青葉が、周りの先輩社員のサポートのもと、ゲーム作りに奮闘する。お仕事系日常コメディという感じ。

きらら系のアニメなので、CPは組もうと思えばいくらでも組めるが、この作品で一番代表的なのは、キャラ班リーダーの八神コウとアートディレクターの遠山りんのカップルである。社会人百合好きからの評価も高いような気がする。

 

→下の記事に続く。

 

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*1:※本記事は百合や百合作品についての他の定義を排斥するものでもありませんし、他のCPの組み方の可能性を否定するものではありません。また推しCPの派閥戦争への参戦の意志はありません。

桜Trick

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【概要】
時期:2014年冬アニメ(2014年1月~3月)

原作:まんがタイムきららミラク桜Trick

作者:タチ

制作:スタジオディーン

 

【あらすじ】

主人公の高山春香と園田優は中学からの親友で、中学卒業後2人とも美里西高校に入学した。しかし、優が初めて会った他の生徒たちと仲良くしている様子を見て、優が大好きな春香は嫉妬してしまう。春香は自分だけが優にとって他の子たちとは違う特別な友達でいたかったからである。そんな春香に優は「じゃあさ、私たちは他の子たちとは絶対しないことをしようよ」と提案する。それに対して春香が答えたのは「キス」だった。 「キス」を通じて深まっていく二人の関係を軸に描かれる、楽しくも切ない、少女同士の口付けの青春の物語。

 

【おすすめポイント 】

百合をテーマにしたアニメの中で最も知名度の高い作品の一つです。毎回キスシーンが盛り込まれることで有名なので、名前だけ知っているという人も多いと思います。 キス要素が一般的に強調されがちなアニメですが、女の子どうしの恋愛を丁寧に描いたラブコメとしてかなり完成度が高い作品です。百合作品ですが、百合作品にありがちな閉鎖的な女子校という雰囲気ではなく、他のきらら原作のアニメと同様、日常的な学校生活を軸にストーリーが展開します。また、演出もすばらしく、コミカルな日常パートと恋心の微妙な表現を引き立てています。

 

【感想】

ブコメ要素のあるアニメでは、二人が少しずつ互いにひかれあっていく様子を1クールかけて描き、最終話でやっと互いの気持ちを認め合う、もしくは、最終話でも互いの気持ちに気づかないままというパターンが多いような気がします(原作を途中までしかアニメ化できないといった事情も絡んでいるんでしょうが)。しかし、桜Trickはそのような中途半端なラブストーリーではありません。第1話の段階で既に、春香と優が明確な好意を確認しており、それ以降、特別な友達としての二人の関係を1クールかけて丁寧に描いていきます。

桜Trickを観て圧倒されるのは、何といっても濃厚なキスを交わす春香と優の姿です。濃厚なキスといっても、官能的すぎていやらしいといった感じではなく、あくまでも他の子とは違う特別な友達であることの確認というプラトニックさを強調することに成功しています。ほんわかとした色調、柔らかいキャラデザ、そして丁寧なキスの描写がこれを可能にしています。さらに、きららっぽい日常系という雰囲気を残しつつも、ときどきセクシーさを感じさせるような演出もあり、リアルさを醸し出しています。

ちなみに、OPではヌード姿になってますが、本編ではヌードどころが、パンチラもありません。単なるファンサービスのような無駄な演出が少なかったことは個人的に好印象でした。

桜Trickの評価すべき点は、キスだけではありません。キス以外のパートでの演出も特徴的です。「物語シリーズ」を彷彿とさせるような演出も多く盛り込まれています。ところどころに視覚的なメリハリをもたせることで、コメディタッチな日常にリズムを与えており、観ている側を飽きさせません。演出の素晴らしさは、シリアスな恋愛模様を描いた場面でも言えます。例えば第1話の前半パート(1-A)では、クラスでのコミカルなやりとりから一変して、空き教室で一人ぼっちの春香に優がやってきて初めてのキスをします。本作で一番印象的なシーンです。そこでは演出や画面の見せ方にも工夫が凝らされていることが分かるはずです。

さらに私が指摘したいのは、必ずやって来る「終わり」を意識させるストーリーになっているという点です。普通の日常系アニメでは、登場人物たちの日常が(あたかも)永遠に続くことを観客に意識させます。本来的に「日常」がいつか終わってしまうことはあり得ないからです。しかし、桜Trickは違います。1話で廃校が決定しており後輩も入ってこないことが述べられ、2話でコトネが高校生活の短さについて言及されることで、彼女たちが送っている高校生活がいつかは終わってしまうことを見ている側に強く意識させます。このことは、ストーリーの後半は美月会長たち3年生の卒業に焦点が当てられている(バレンタイン関連のエピソードすらなかった)ことからも裏付けられます。短くてせつない高校生活という舞台装置の中で、桜Trickのストーリーは展開されているのです。

そのような舞台装置の中で展開される彼女たちの物語には主に二つの軸から成り立っています。

一つ目の軸は、短い高校生活を精一杯楽しもうとする彼女たちの姿です。春香たちの通う高校はすでに廃校が決定しており、春香たちの後には後輩も入ってこなければ、体育祭をする資金すらありません。しかし、そんな逆境の中でも、みんなで素敵な思い出をたくさん作ろうとします。終わりを意識させる舞台装置の中で、なおさら楽しい時間は引き立てられるような気がします。

二つ目の軸は、それぞれの恋愛模様です。春香と優、コトネとしずくのカップルはもちろん、楓とゆず、美月会長と理奈副会長など、それぞれがそれぞれの気持ちを抱えています。それは単なる「恋人」や「友達」という言葉で片づけられるようなものではなく、もっと微妙な関係です。そんな中、いつか終わってしまう高校生活という舞台装置は、作中の世界観では一般的には認められているとはいえない女の子同士の恋愛というあり方や、学生時代という一生のうちでも特別な時期にだけ存在できるはかない恋愛を暗示しているようでもあります。だからこそ、まるでそれに抗うかのように、互いの「好き」の気持ちを確かめあいながら、模索しながら、「他でもない特別なあなた」と一緒に楽しい時を過ごしていく、それが本作のメインテーマになっています。

これらの点から、百合を意識した(もしくは百合好きがCPを組もうと試みる)他の日常系アニメと全く異なり、桜Trickが特殊であることが分かります。

さて、桜Trickでは春香と優がほぼためらいもなくキスをする関係になっており、これに対して違和感を持つ人も少なくはないと思います(私も正直その一人です)。しかし、困惑しているのは視聴者だけではなく本人たちも同様で、美月会長の春香への告白を通じて、春香と優が互いに対して抱く「好き」とは何なのかを問い始めます。結局作中では答えは見出されませんでしたが、美月会長の登場により、単にキスをしあう関係から、キスの意味を問いかけるようになったのは、大きな進歩だったと思います。原作の漫画の連載は以降も続いているようなので、これからも彼女たちの関係に注目していきたいところです。

最後にOPとEDについても触れておきます。電子音とミックスされたボーカルで構成され、どこか幻想的な雰囲気を感じさせるOPと、春香と優が歌うEDは、聞いているだけでもう泣きそうになります。ぜひ何回も聞いて桜Trickの世界に浸ってください。

 

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