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聖クロス女学院物語

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【概要】

著者:南部くまこ

イラスト:KeG

レーベル:角川つばさ文庫KADOKAWA

【あらすじ】

カソリック系の聖クロス女学院中等部の1年生は、上級生と文通できる習わしがある。だが、文通の相手が誰なのかを知ることはできず、もしバレてしまうと「運命」(デスティーノ)が途絶えてしまうらしい。だが、初等部から中等部に入学した「持ち上がり組」の主人公の松本陽菜は相手が知りたくてたまらない。そんな彼女は、「受験組」の美人だけどちょっと変わった青柳花音に「神秘倶楽部に入部すればわかるかもしれなくてよ」とユーワクされて・・・。

 

【おすすめポイント 】

厳格なカソリック系のミッションスクールの女子校を舞台に、憧れの上級生のお姉さまとの文通、幼なじみとの友情、新たな同級生たちとの出会いなど、百合を感じさせる様々な関係性が、中等部に入学したばかりの初々しさの中で丁寧に描写されています。ミッション系の女子校から連想される独特で厳かな雰囲気や、憧れの先輩との文通という幻想的な情景の一方で、入学したての初々しい女の子の心情や年相応な考え方がキラキラとした文体の中でリアルに描写されているのも特徴です。素直な性格の陽菜やミステリアスな花音もかわいいのでおすすめです。

 

【感想】※2巻以降は未読です

幼馴染を大事に思ったり、幼馴染とお揃いのおメダイをなくしてしまい悩んでしまう主人公の陽菜も可愛いのですが、花音の方もシスターの前でも堂々としていて行動力もあるのに憧れの先輩の前では緊張してしまったり、論理的な思考をするのに神秘的なものに惹かれてしまったりなど、ギャップが印象的でした。2人の間にはまだまだ溝がありますが、陽菜に新しい世界を見せようとする花音と、段差を踏み外さないように花音を気遣ってあげる陽菜の2人がこれからどう打ち解けていくのか楽しみです。

 

児童書レーベルの角川つばさ文庫の作品で、色んな人々と出会いながら主人公が成長していく様子がストーリーの軸になりそうです。また、主人公の心情が丁寧に描かれていて、洗練された立ち振る舞いをする先輩方への憧れ、新しい環境への気おくれとワクワクが入り混じった気持ち、「持ち上がり組」と「受験組」の間に必要以上に差異を感じてしまうところ、シスターや先輩方の前ではお行儀よくしなくてはと自戒するところなど、まだ子供らしさを残す感性や考え方に新鮮さを覚えました。

 

中でも、引っ込み思案な幼馴染に遠慮した主人公が、新しい友達を作ることや幼馴染と違うクラブに入ることを躊躇する様子には、「中学生くらいの女の子ってこういう人間関係ですごく悩みそう」とかなり共感してしまいました。昔、自分の妹が母親に同じようなことを泣きじゃくりながら相談していたことを思い出したからです。大人から見れば深刻な問題には見えなくて、(特に男からすると)どうしてそんなことで悩んでいるのかもよく理解できないけど、本人にとっては大事な問題なのだろうと思います。その点で、メインの読者層である少女たちに寄り添おうとした内容になっているように感じました。

 

百合が感じられる内容になっていますが、主人公の陽菜を取り巻く関係性は、誰かとくっつけてCPにできるような単純な枠組みでは語ることはできなさそうです。小学校からの大親友の奈々、憧れの史織先輩、変わり者だけど何か引っかかる花音など、これから陽菜が重層的で豊かな人間関係を築いていくことが予想されました。単純な百合展開が前提ではない青春ストーリーとして、彼女たちがどう変わっていくのか、この先の展開が楽しみです。

 

ところで、親友に遠慮して新しい友達関係を作るのを躊躇してしまう状況って、どこかで見たような気が・・・、それって桜Trickだ!桜Trickでは親友2人が「他の子たちとは絶対にしないこと」としてキスをする関係になるわけですが、この作品では陽菜と奈々はどんな選択をするのでしょうか。続きが楽しみです。

 

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